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生命保険を活用する

1 納税資金対策

相続税は、金銭で一括納付をすることが原則になっています。

不動産やその他の動産で納付すること(物納)は条件付きとなりますし、認められないケースもあります。
売却して金銭に換価することも本意ではないことが多いでしょう。

そういったときに、よく対策として使われるのが「終身保険」です。
保障が一生続くため、死亡時に必ず保険金が受け取れ、現金が手元に残るのです。
納税資金対策には、この「終身保険」が最も適しています。

とは言え、相続税額は一般的に高額です。
それだけで支払えるような保障額の保険に加入しようとすると、保険料も高額になります。

その対策として、保険期間を長くした「定期保険」や「定期付終身保険」が利用されることもあります。

※ 定期保険 一定期間に死亡した場合に保険金が支払われる
※ 終身保険 死亡するまで保障される生命保険
※ 定期付終身保険 一定期間は保障額が大きく、期間終了後は保障額が小さくなるが、一生涯、保障が続く生命保険

2.生命保険を活用するメリット

1)受け取る死亡保険金には非課税枠があります

契約者、被保険者が被相続人で、死亡保険金受取人が法定相続人の場合、受け取った保険金は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となります。

そのうち法定相続人数×500万円が非課税になります。

例えば、夫が死亡して妻が2000万円の保険金を受け取った場合、子供が2人いたとすると、法定相続人3人×500万円=1500万円が非課税となり、残りの500万円が他の相続財産と合算され、課税対象となります。

2)加入と同時に納税資金対策ができます

保険に加入したのと同時に資金が準備できることになります。
銀行預金などの積立とは大きく異なる部分です。

3)保険金受取時まで課税は発生しません

生命保険の配当金は、受け取った保険金と一緒に相続財産として扱われ、契約途中で課税されることはありません。

一方で、銀行預金は利息から20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)の源泉徴収がされます。

4)現金で受け取れます

相続税は、原則として相続開始から10ヶ月以内に金銭で納付しなければなりません。

もし、不動産などの固定資産だけを相続したような場合、売却して資金を調達することも少なくないようです。

保険金は現金として受け取れるため、固定資産の売却をせずに済むかもしれません。

もちろん、相続税の納付には、延納や物納という方法もありますが、利子もかかるうえ、手続が面倒です。

なお、固定資産に全く手をつけずに相続税納付を行いたいのであれば、受け取る死亡保険金にかかる相続税分も計算に入れて、保障額(保険金額)を決める必要があります。

3.現物分割に生命保険を利用する

相続人が数人いて、遺産の大半が不動産だというケースがよくあります。このようなケースで、生命保険を使うことができます。

この場合、不動産は遺言で一人の相続人に遺贈し、他の相続人を生命保険の受取人に指定して、死亡保険金を分配することで帳尻を合わせられるのです。

ただし、保険金額は遺留分の額以上にしておくことが大事です。

4.代償分割に生命保険を利用する

事業をしている場合、遺産分割すると事業ができなくなってしまうということがあります。

このような場合、「代償分割」という方法が使われます。

「代償分割」とは、相続人の一人が財産を受ける代わりに、他の相続人には相当の金銭や別の資産をその代償として支払うというものです。

この場合、代償分割の支払のための資金を生命保険で準備することができます。

具体的には、財産を受け取る人を死亡保険金受取人に指定しておけば、一度受け取った保険金を他の人に支払うことができるのです。

同族会社などの場合、株式の多くを社長が持っているケースが多いようです。
また、会社を子供に継がせたいと希望している経営者も多いようです。

こういった場合、社長が死亡して保有していた株式を会社の経営に関係のない、後継者以外の相続人に分割すると、その後、それらの相続人から会社に対して自社株の買い取り請求を受け、経営を圧迫するなどといった事態にもなりかねません。

会社経営を安定的に承継するためには、後継者一人に自社株を相続させることが必要です。

そこで、生命保険を活用した遺産分割対策が有効になるのです。

この記事を担当した執筆者

福島いなほ法律事務所

佐藤 初美

保有資格
弁護士・家族信託専門士・ファイナンシャルプランナー(AFP)・介護職員初任者研修修了
専門分野
債務整理・相続・遺言・家族信託・成年後見・その他
経歴

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