家族信託(民事信託)を活用したケースその4:高齢の親の財産を管理したい
Aさんの父Bさんは、高齢のため最近物忘れがひどくなってきています。
このままでは財産の管理が難しくなってしまい、成年後見人を選任する必要が出てきそうです。
父Bさんが財産を失わないよう、AさんはBさんの財産を管理してあげたいと考えています。良い方法はないでしょうか?
民事信託を活用した解決例
父Bさんの判断能力があるうちに、Bさんの財産をAさんに信託しておき、AさんがBさんに代わって財産を管理する方法が有効です。
こうすることにより、父BさんはAさんに財産を預け、Bさんの必要に応じてAさんから財産を提供してもらえるので安心です。
この方法は、贈与や成年後見でも行うことができますが、それぞれに欠点があります。
贈与の場合、父Bさんの財産をAさんへ贈与してしまうと、財産はAさんのものとなり、Aさんが自由に使うことができてしまうため、いざBさんが必要になったときに財産が残っている保障がありません。また、贈与税などの負担もあります。
また、成年後見でも親族の財産を管理することができますが、裁判所の監督を受けるうえに、不動産や株式の売却といった必要な財産の処分も不自由になります。
信託であれば、受益権(預けられた財産や財産から得られる収益を受け取る人)は父のBさんが持つことや信頼できるAさんにまかせることやAさんを監督する信託監督人をおくことなどで、贈与の場合のようにAさんが勝手に財産を使い込んでしまうことを防止したり、不動産や株式の売却といった信託の目的を実現するために必要な財産の処分はAさんの判断で行うことが可能です。
この記事を担当した執筆者

福島いなほ法律事務所
佐藤 初美
- 保有資格
- 弁護士・家族信託専門士・ファイナンシャルプランナー(AFP)・介護職員初任者研修修了
- 専門分野
- 債務整理・相続・遺言・家族信託・成年後見・その他
- 経歴